由木のカエルお話し会では参加者の方からたくさんのご質問をいただきました。

 

由木のカエルお話し会 質問の答え

質問:タゴガエルは高尾山以外にはどこに住んでいますか?

答え:崖にある湧き水のでてくるほこらのようなところにタゴガエルは卵をうみます。

八王子の近くでは 千葉県の房総半島の養老渓谷などで棲んでいるとのことです。そこは 地層がよく見えるところでもあり、詳しい研究から、2020年1月に地質年代としてチバ二アンが決まりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E8%91%89%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

タゴガエルのオタマジャクシと変態直後の仔カエル

 

質問: 今までのカエルのなかで飼ってはいけないものはあるんですか?

 

答え:由木のカエルのお話し会で紹介したカエルで飼ってはいけない種はありません。

ただし、飼育したカエルを野外に放すのは次の理由でいけません。ひとつは 飼育していた時に伝染病にかかる可能性があるので、それを野外のカエルにうつさないためです。ふたつめは、飼育したたくさんの個体を野外にはなすと、野外の集団が特定の遺伝子にかたよってしまうからです。ウシガエルについては、特定外来生物に指定されていて 野外からは駆除すべきで放すのはいけないのです。

 

質問: サンショウウオやアシナシイモリばかりでなく カエルのオタマジャクシにも孵ったばかりは外鰓がありますよね。

 

答え:お話し会でおみせしたスライドのなかにタゴガエルのオタマジャクシがありました。

左は若いオタマジャクシですが、外鰓のあることがわかります。オタマジャクシが育つと、真ん中のオタマジャクシのように、エラはからだのなかにはいり 口から吸い込んだ水がエラのところを通って呼吸孔からでていくようになります。からだを作り変えてカエルになると、エラはなくなり肺と皮膚で呼吸します。

 

タゴガエルのオタマジャクシと変態直後の仔カエル

質問: サンショウウオは里山公園にいますか?

 

答え:由木の里地里山には貴重な自然が残っています。

むかしながらの水田や水路、里山の姿がいくつかの組織で保全されています。長池公園のひとたちも公園のなかだけでなく広い範囲でどのような生物が由木に生きているかを調べてくれています。このごろ教えてもらった希少な生物は淡水性の紅藻(カワモズクの仲間)が里山のきれいな水の流れで生きているものでした。さて サンショウウオですが、何箇所かでトウキョウサンショウウオが棲息しています。カワモズクは希少でもあまり注目されないのですが、この近くで生息している希少な魚とかサンショウウオはマニアの間で高い値段で取引きされるようです。苦労して保全している人たちの眼前で 採捕されて持ち去られることも経験され、どこに生息している
かといった詳しい情報は伏せるようにしています。希少な生物が残っている貴重な自然が由木にあることを沢山の人に知ってもらいたいというのとせめぎあいがあります。

 

質問: オタマジャクシの生活の種類を教えてください

 

答え:オタマジャクシは大きくわけて4タイプあると説明しました。

左のふたつ(ツメガエルとヒメアマガエル)には口のところに歯の列がありません。水の中層や上の方を泳ぎ、水中に懸濁している餌を吸い込み それを濾して消化管に送ります。右のふたつ(スズガエルと普通のオタマジャクシ)は水の底に近い層をおよぎ ものの表面についている餌や水底の餌を歯でこそぎながら食べます。オタマジャクシは植物性のものでも動物性のものでもなんでも食べます。カエルになると動く動物しか食べなくなるので 消化管の長さはオタマジャクシの1/10ほどに短くなります。
産卵期はカエルの種によって異なります。ヤマアカガエルは冬に産卵しますが、ニホンアマガエルは田んぼで稲が植えられてからであったりします。場所でもオタマジャクシで生活する時期が異なっていて 生活の種類もさまざまになるのです。

 

 

質問:なぜ、カエルは鳴く時期がわかるのですか?

 

答え:カエルは種類によって卵を産む時期がきまっています。

天候はたとえば雨のふる日や暖かくなる日がある周期で繰り返されます。また昼の長さは季節で変わっていきます。カエルはそのような変化から産卵する時期を知るのかもしれません。ヤマアカガエルとニホンアカガエルというとてもよく似た近い種がおなじ地域にすんでいることがあるのですが、産卵時期が1-2週間ほど異なるようです。
産卵期になると およそどんな種でもオスが産卵場所にまずでてきて鳴いて縄張りをつくり そのあとから出てくるメスを呼びます。

 

 

質問:オタマジャクシでいる期間は種類によってどれくらい幅があるのでしょうか?

 

答え:オタマジャクシですごす期間は、変態して地上にあがったときに生活できる最小の大きさまでオタマジャクシがそだつと変態してカエルになる種では、そのおよそ1月と短いのです。

お話し会で紹介したカエルでは 自分のフンだけで育つこともあるタゴガエルやヒキガエルは短いのです。一方、水中で生活できる最大の大きさまでオタマジャクシの生活を送り、変態したときには大きなカエルになって地上での生活を始める種もいます。ウシガエルがそれで、冬をこし越年して1年以上オタマジャクシとしてすごし次の初夏に変態します。

 

 

質問:オタマジャクシが小さいとおとなになったとき大きなカエルになり、オタマジャクシが大きいと小さいカエルになると聞いたのですが本当ですか。なぜでしょうか。

 

答え:種類によります。ヒキガエルのオタマジャクシは小さいのに大人になると大きなカエルになります。

ウシガエルのようにとても大きなオタマジャクシまで育ってから変態してカエルになる種もいます。同じ種類のカエルでは オタマジャクシが小さいか大きいかは多少の差はあるけれど、自然界だと変態後のカエルの大きさは大体揃っているようです。ニホンアマガエルの変態直後の仔ガエルが水場近くの草の葉の上にたくさんとまっていることがありますから、観察してみてください。

 

 

質問: オタマジャクシがびっくりしたときに左右どちらに尾をつよくまげるかに偏りがみられるのは呼吸孔のせい?

 

答え:行動の左右性がどのようにしてあらわれるのかについての仮説には大きく分けて2つあります。

ひとつはからだは左右対称にみえるが 細かいところで対称ではないところがあってそれにより行動の左右性があらわれるというものです。もう一つは行動を制御する脳など神経系のはたらきに左右差があるからというものです。ヒトの右脳左脳で得意なはたらきがちがうかもしれないといった話もあります。
オタマジャクシのびっくり反応の左右性について 山下の共同研究者は「普通」のオタマジャクシの観察でみられた左右性を呼吸孔が片側に開いているというからだのかたちの左右性から説明していました。日本はオタマジャクシの4タイプが(韓国までいってスズガエルを得ると)揃うオタマジャクシ研究にはとてもよいところです。奄美以南にいるヒメアマガエルのオタマジャクシを観察したところ、孵化直後は左右性無し、育つと6:4くらいで左右性がでて、変態近くなるとまた左右性がなくなるということがわかりました。からだのかたちの左右性ではないということになったのです。
それではなにが行動の左右性を産むかですが、びっくり反応は刺激をうけてから時間遅れなしに起こります。脳で制御しているのではなく、マウスナー神経細胞による反射反応です。(ヒザを小さなハンマーで叩くと足先が上がるという仕掛けと似たようなものです。)マウスナー神経細胞の左右性かもしれないと考えたのですが、検証はしていません。

 

質問: オタマジャクシの心臓はどちら側にありますか

 

答え:ヒトの心臓はからだの中心ではなく左側によっています。

お話し会でおみせしたヒメアマガエルでは 心臓は真ん中にあって その左右にエラ血管が伸びているのがわかります。オタマジャクシやカエルの心臓は ヒトの心臓が4つ部屋に分かれているのとくらべると、単純な構造になっています魚の心臓はもっと単純なつくりです。


ヒメアマガエル

質問: 高速度撮影でカエルが舌をのばして餌をとらえていましたが、何を食べていたんですか?

 

答え:昆虫の幼虫のようです。

カエルは動くものしか視えず、餌は小さな動物です。画面の左端にピンセットの先が見えていたので、撮影するときに昆中の幼虫をカエルの前でチラチラ動かしていたとおもわれます。
動くものなら(適当な大きさであると)カエルはなんでも食べます。山下の知り合いで、電子部品のIC(ゲジゲジのようなかたち)をチラチラ動かして食べさせるのに成功した人がいました。カエルは餌をとらえるとそのまま呑み込んでしまします。味は選ばず胃袋で味わうのかもしれません。  

 

 

質問:ニホンアマガエルのオス・メスの見分け方

 

答え:シュレーゲルアオガエルは大きさがオス(小)メス(大)でわかります。

むずかしい言葉でいうと「性的二型」といいます。ヒトでは男性のほうが女性よりすこし背が高い傾向があります。ところがニホンアマガエルはからだの大きさなどでは わかりにくいのです。しかし大きな声で鳴くかで見分けることができます。大きな声で鳴いたらオスです。
ニホンアマガエルを宇宙ステーション・ミールに連れて行って実験したことがあります。ニホンアマガエルのオスは雨がふりそうとわかると鳴く性質があります。背に濡れた小さなワイプをのせて鳴いたらオスというワザをためしました。低気圧を感じてもカエルは鳴くようなのです。飛行機でロシアまで連れて行った時に離陸して上昇していくとき機内の気圧が低くなり鳴き出してしまい大変だった思い出があります。そのときはカエルを運んでいた人間が大きな声で話しだしてカエルの鳴き声を隠しました。

 

 

質問:宇宙でカエルは元気でしたか?

 

答え:6匹のニホンアマガエルを宇宙に連れていってもらいました。

ほかにも多くのカエルをロシアまで運び 宇宙には行かなかっただけで 同じような待遇にして日本に連れ帰りました。宇宙に行ったカエルは皮膚はつややかでからだの色も緑が鮮やかでした。このような点で比較すると、宇宙に行ったカエルの方が地上にいたカエルより元気にみえました。宇宙ではつよい宇宙放射線にあたるので 心配をしましたが、逆にそれがよかったのかもしれませんが、よくはわかりません。

 

質問:ニホンアマガエルの体色変化について

 

答え:ニホンアマガエルには周囲の色に合わせて体色を変化させる能力のあること、体色そのものと体色を変化させることができるかが そのカエル個体の健康状態を推定する指標になるようだとのお話をしました。

山下は 体色変化について詳しく調べたことがないので、参考になる資料を示しますので御覧ください。

 

1)高校生の研究結果  http://www.higashi-h.tym.ed.jp/course/kadai24/amagaeru.pdf

 

2)体色と体色変化についての解説  魚についてですが下記のウェブサイトがあります。 東邦大学 大島範子先生
 https://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/fish/index.html

 

3)眼の誕生
 動物がどのようにして(明暗だけでなく像をみることのできる)眼をもち 餌動物や捕食者を眼でさがしはじめ 動物が体色をつけはじめたのかを解説している本です。色ははじめ構造色でつけていたようです。(タマムシの色のしかけ、CDとかで光の干渉で色がみえるしかけ、オタマジャクシや魚でいえば虹色素胞のしかけ)眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く アンドリュー・パーカー八王子市図書館には所蔵されています。

 

4)ヤドクガエル
 毒をもつ生物は捕食者に毒を持っているのをアピールするために毒々しい体色をつけます。普通の体色では毒をもたない種と捕食者には区別がつかないからです。というより、毒を発明しながら派手な体色も持った個体が捕食されず そのような遺伝子が選ばれた結果を私たちはみています。  毒を持たない種で毒々しい体色となったものもあります。これは便乗型といってもよいかもしれません。
 お話し会でふれた両生類のなかでは、スズガエルとアカハライモリは腹の色がオレンジだったり赤であったりします。スズガエルは捕食者にとって苦い味のする化学種を体内に作るようです。干物が民間薬として使われたようで抗菌作用があるかもしれません(わかりません)。アカハライモリはフグ毒とおなじような化学種を体内にもったり皮膚から分泌するようです。(たくさんアカハライモリを触っていると手にしびれを感ずることがあります。)
 スズガエルとアカハライモリは捕食者に出会ったりびっくりすると、腹側の毒々しい模様を誇示するような姿勢で固まりしばらく動かなくなります。スズガエルのこの反応を スズガエル反射 Unkenreflex と呼びます。https://en.wikipedia.org/wiki/Unkenreflex
 アカハライモリは見た目が毒々しいので 由木に昔はたくさん棲息していたとのことですが、保護されなかったようで 今はあまり見かけることがなくなりました。(都立大のキャンパスには棲息していると聞いたことはあります。)サンショウウオは見た目がかわいいことで保護されているのに 見た目ゆえに保護されないアカハライモリということで 山下は残念に思っています。伝染病を起こす(宿主となる)生物種は駆除されるのですが、人間にとって可愛く見えるかどうかで扱いが変わるのは人間勝手ですね。

スズガエル反射

 

質問:「カエルはカエルというのがカエル」というのはどういう意味ですか?

 

答え:ガートルード・シュタインというアメリカの詩人が「バラはバラでありバラである」という詩をのこしました。

カエルの絵を描くとカエルはカエルとわかるのがカエルである・・ということです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB
%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF %E3%82%A4%E3%83%B3

 

 

質問:大絶滅の後、カエルの種類が減るのではなく、増えた理由はどういうことが考えられますか?

 

答え:恐竜があのとき絶滅していなかったらヒトなどの哺乳類の動物は夜の世界でしかいきて行かれなかったかもしれません。コウモリがそうで、恐竜の子孫である鳥が生き残って今も空を飛び回っています。コウモリは昼間には活動できなくて、夜に活動しています。鳥と哺乳類はまわりの温度によらず体温をある温度に調節するしかけをもつようになりました。昼に活動する鳥はこの体温が40℃と高いのに、ヒトなど哺乳類は36℃と低いのです。これは昔の哺乳類は夜の世界で行動していたからだと説明されています。
恐竜などがいなくなったおかげでカエルや哺乳類が増えたのは、恐竜などが行動していた世界が他の生き物により利用できるようになったためと言われています。生活する環境やその利用のしかたの種類のかずだけ生物の種類があるようなのです。
カエルは日本では生きる世界の種類をたくさん作れたのでおよそ30種類ほどいるとのことです。一方、尾をもつ両生類のうちイモリはアカハライモリと奄美大島以南にいるシリケンイモリなど2~3種類しかいません。サンショウウオは日本の近くで始まって多くの種にわかれたので種類も多いと言われています。ヒトはアフリカではじまってその後で世界の各地に散らばりました。いまでもアフリカではヒトの遺伝子の多様性は豊かであるといわれています。ただチンパンジーの近くの群れと群れの間での遺伝子の違いとヒトのなかでの違いの大きさをくらべると、ヒトのあいだでの違いはとても少ないとのことです。ヒトはヒトであるからヒトであるといえるのでしょうね。

 

 

質問:カエルの背中はどうして凹んでいるのですか?

 

答え:からだのなかに骨があって体の大きさやかたちが決まります。

木の上に登って生活しているニホンアマガエルでは、体の中の水分が40パーセントくらいなくなっても生きていけます。ヒトではとてももちません。水がスカスカに通るくらい柔らかい皮膚なので、背中がまん丸ではなく中の骨のようすがわかるようにへこむことがあります。
長池公園自然館の展示室には カエルの骨格標本がほかの動物の骨格といっしょに展示されているので、みてください。(※ただいま長池公園自然館のフリースペースは休止中です。解放は未定です。現在はトイレのみ使用可能となっております。)

 

 

質問:カジカガエルのオタマジャクシは流されないのですか?

 

答え:カジカガエルのオスは川の中で鳴いています。

メスと交尾すると、川の石の下のところに卵がへばりついて産み付けられます。オタマジャクシも石の影だとか水の流れがゆるいよどみで泳いでいてあまり流されないのでしょう。流れのある川では多くの魚も卵を産み、稚魚がそこで泳ぎます。稚魚は流されないように川岸に生える草などのところに隠れながら育ちます。

 

 

質問:カエルのあごのところはどうして膨らむのですか?

 

答え:ニホンアマガエルの動画を見てもらったけれど、すごく大きな音を出すために鳴嚢(めいのう)というものがあります。

ヒトは大きな声を出すときには肺から吸い込んでいた空気をだします。鳴嚢をもつカエルは 肺と鳴嚢のあいだで空気を出したり入れたりして鳴きます。鳴嚢がないカエルは大きな音が出せないのです。鳴嚢は下にひとつが膨らんだり、左右に2つ膨らんだり種によってことなります。

 

 

質問:カエルの視力は?どれくらい遠くのものを見ることができるのでしょうか?

 

答え:カエルは動くものしか見えないし、細かなものを視る能力(分解能)はあまりありません。

ヘビが鎌首をもたげた粗いパターンをカエルに見せると、カエルはびっくりします。パターンを見分ける能力はあります。カエルもヘビも動いたら相手に視えてしまい負けなので、あまり動かない。ヘビが危険距離に入ると カエルは両方のうしろ肢で強く蹴って跳んでにげます。それが遅れると食べられてしまいます。

 

 

質問:温暖化が進行することでカエルの生態に影響はありますか?

 

答え:温暖化が進むとたとえば極地方にすむシロクマも生きて行かれなくなるリスクがいわれています。

温帯では 温暖化がゆっくり進むと、生物が適したところに移っていくことができるかもしれません。たとえば蝶の北限が北に移っているとか報告されています。カエルなどは移動できる能力がおよそ500メートルです。移り住める環境がその範囲にないとそこで終わりになってしまうことにもなります。農業では人が作付けする作物種を変えることができるのですが自然界は大変です。